「プログラマティックなビデオ広告: それは何で、パブリッシャがそれを嫌うのはなぜか」

AllViocesに10/25掲載の記事より。

(原文の著作権者に許可を取っておりません、問題ありましたらご連絡ください。)

プログラマティックなビデオ広告: それは何で、パブリッシャがそれを嫌うのはなぜか」by Michael Foster

(訳注:本エントリの著者のFoster氏はニューヨーク市に在住でAllVoiceへ寄稿する記者とのこと)

ディスプレイ広告においてリアルタイムマーケティングは嵐のごとく採用されてきており、多くのテクノロジ企業があらゆるキャンペーンに対してディスプレイ広告の最適化を実現させてきた。最も有名で成功しているRocketFuel社は株式公開企業となり株価はその名のごとくロケットのように飛び上がっている。

プログラマティックプラットフォームはディプレイ広告の分野において(訳注:有力プレイヤが出そろったという意味で)落ち着きを見せているが、ビデオについてはまだ黎明期だ。この分野で数社のスタートアップが倍々の成長を見せているが、パブリッシャはこのトレンドに抵抗している。

その理由は少なくとも論理的には全くうなずけるものだ。パブリッシャはプログラマティックなビデオ広告を全く機会ではなく、自分たちのマージンを奪う脅威と見なしている。なぜか?いかなるメディアにおいても、広告セールスの人たちが広告主に商品の違いを理解させて広告枠を直販することが高い媒体費を実現させる。けどオープンなエクスチェンジで売られると、広告主たちが単に自分がリーチしたいオーディエンスを組み合わせるのに最も都合がよい広告枠に入札するという市場競争にさらされる。要するに、広告主はコンテンツではなく人を買い付けるので、パブリッシャは自分たちのコンテンツがコモディティとなるのではないかと心配なのだ。

これに対して、プログラマティックなバイイングとセリングは単に広告をより適切な人々へ適切な時間に届けるための効率化だとする議論がある。よい広告枠を作れるパブリッシャは仕事をたくさんもらえて読者と大きなエンゲージメントが得られ、結果高単価・高いCPMとなって高収益を得る。この議論が本当なら、未来は一つの大きなプラットフォーム上のマススケールなやり方ではなく(「アメリカンアイドル」に高いお金を払って広告を掲載することにサヨナラを言って)、小さくてロングテールなコンテンツサイトどうしが自身のデータをテクノロジを使ってつなぎ合わせるやり方になる。

我々は既にバナー広告においてこうしたことの起こりを目にしてきており、論理的にビデオ広告はその次のステップだ。実際には、プログラマティックなビデオ広告の買い付けはより大きな意味がある。(訳注:静的な記事コンテンツだけでなく動画コンテンツのパブリッシャをも巻き込んだ話だという意味)CBS,Viacom,Disney,その他の企業は全然そういう風にはみなしてないが。実際、プレロールやミッドロールの広告は簡単に、それもダイナミックなバナー広告やネイティブ広告よりも簡単に動画コンテンツに挿入できる。しかも、エクスチェンジにおいて動画にタグをつけてプレロール広告を最適化することがが可能であることは既に実証済みだ。YouTubeは知識あるマーケターがプレロール広告によって非常に高い成果を上げられることを示してきた。もちろん、彼らはユーザデータを使ってクリックスルーと広告パフォーマンスを向上させられたからこそだ。

いくつかの企業はそうしたパフォーマンスを向上させる手助けをしていて、多くは今年のad:techで自分たちが広告主やマーケターに提供する価値を展示する予定だ。端的に言うとこれらの企業は、パブリッシャが近い将来に恐怖しているせいで、高品質な広告枠を広告主に売る難しさを抱えているかもしれない。けど我々はこうした光景を何度も見てきた。すなわち、未来の到来は止められないし、最終的に動画配信業者たちはプログラマティックなビデオ配信を受け入れて消費者や世界に向けて配信するだろう。

この記事はad:techにおけるAllVoices上の特集の一つである。もっとAllVoicesのadtech特集について知るためにallvoices.com/adtechをチェックしてほしい。この特集はadtechが提供している。

訳後感

動画広告のプログラマティック化は、バナー広告とほぼ同じ文脈で進むのでしょうね。違いはコンテンツにつけるタグやオーディエンスの反応データの形が動画というメディアの特性によってバナー広告とは違いが出てくることだけ、なのでしょう。

ロングテールなパブリッシャのファーストパーティデータをつなぐというBlueKaiみたいなビジネスは日本ではまだまだですが、モバイルではさらにデータをつなぐという概念が重要になると思います。動画については本記事のようにバナー広告のRTBと同様の構造変化しかもたらさないでしょうけど、モバイル広告はもっとデータビジネスに踏み込んだ業界像になると思います。