ダイナミックインテリジェントハイパーリンク

仰々しいタイトルだけど、まぁ読んでみてください。

最近、「ネットサーフィン」という言葉を聞かなくなった。インターネットが普及したての頃は、ハイパーリンクを辿って情報を次々と摂取していくというのがWebコンテンツの消費形態だった。

しかし今のWebコンテンツの消費形態は、まずググって、出てきた検索結果のうちのどれかのサイト(のコンテンツ)にジャンプし、そのコンテンツを閲覧し、また検索結果に戻るか、そのサイト内を回遊するか、そのサイトから外部へのハイパーリンクを踏むか、という感じになっている。

ユーザがサイト内のリンクをたどってコンテンツを色々閲覧していくことは今でも一般的だが、サイト内のジャンプである以上は外部リンクを次々と踏んでいく「ネットサーフィン」のイメージとは少し違う。外部リンクを踏むのは、今だと「広告」の場合が多いと私は感じるのだが、あなたはどう思われるだろうか?

サイトを運営するにはお金が掛かる。だから、わざわざ外部へリンクを張って自社サイトを閲覧してくれているユーザを外へ逃がすなんて、非合理的だ。ネット黎明期は個人運営のサイトも多かったから全体的にゆるく外部リンクが張られてたけど、今は企業で運営されているサイトが増えているので外部リンクは貴重な資源になっている。だからサイトに訪れたユーザが外へ出ていくときはそれなりの代償が求められる。それが広告というわけだ。その広告の代表格がアドセンスだ。アドセンスはサイトからの流出ポイントをマネタイズポイントに変えるソリューションだ。

ではサイトへの流入はどうだろう?外部リンクを張るハードルがどんどん高くなっていってる以上、関連サイトからの流入は(アドセンスを除けば)あまり期待できない。SEOをきちんとして、リスティング広告を打つ、つまりグーグルに頼らざるを得ない。こう分析してみると、Webの世界は実にグーグルに都合よく出来ている。どう考えても、グーグルがインターネットの世界をそういう都合よい形に導いてきたとしか思えない。さすがは世界最高の頭脳が集まる企業だ。

サイトにとって大事な資産であるトラフィックは、入口はアドワーズ、出口はアドセンス、とグーグルに要所を握られている現状ではあるが、最近はソーシャルメディアやキュレーションメディアの浸透によってトラフィックの経路が少し変わってきている。

で、ここがポイントだと思うのだけど、そういうソーシャルメディアやキュレーションメディアって、サイト運営者から見ると「トラフィックの入り口側」の形を変えるものだということ。「トラフィックの出口側」の形のほうは最近何か変わったことがあっただろうかといえば、ディスプレイ広告でオーディエンスターゲティングが盛り上がってるというシステム内部の話くらいで、直接のUXに関わる部分では入り口側におけるソーシャルやキュレーションに相当するくらいのインパクトある変化は今のところ無いように思う。けど、スマホWebにおけるトラフィックの出口側はPCのWebとは異なるUXが必要になるだろうから、ちょうど今がその変革の時期かもしれないのだ。

つまり、特にモバイルWebにおいて、トラフィックの出口側をビジネス的にマネージすることに関して、かなりイノベーションの余地があるのではないか?、というわけだ。

そのイノベーションの主役となるのは、欧米で今流行している「ネイティブ広告」かどうかは分からないけど、少なくとも「モバイルWebにおいて、サイト間ハイパーリンクをダイナミックでインテリジェントなものにするテクノロジー」が必要になるんじゃないだろうか。

モバイルWebの世界で、UXを含めてアドセンスに代わるサービスが潜在的に求められているように思う。ネイティブ広告のプラットフォームは、UXのマッチングやブランド信頼性の担保という課題がよくあげられるけど、それらをひっくるめた本質として「モバイルWebのトラフィックの出口側をビジネス的にマネジメント可能にするテクノロジ」という捉え方が良いのではないかと思った次第。