新社会人の君へ

新社会人、おめでとう。君はすでにネット上でいろいろな激励文を読んでいるかもしれない。その中で納得できるものもあれば、よく理解できないものもあったかもしれない。これもそんな激励文の一つだ。参考になれば幸いだ。

社会の「いい加減」さをどんどん体感しよう

君にアドバイスをするオトナはたくさんいるだろう。その殆どが、アドバイスを垂れるその人の社会的立場やそれまでの経歴を正当化させるためのものであることを常に意識しよう。

というのも、現代社会はあまりにも速く変化するので、例えば10年年上の先輩よりも君のほうが正しく認識しているといったことがこれから加速度的に増えるからだ。だから心から納得できないことがある場合は、納得できる形を君のゼロベースの頭で考えよう。そして、もし君なりの答えのようなものをとりあえずでも出せたら、それを実際に社会に問うてみよう。

おそらくそうした行動によって得られるのは、「社会は自分が思っているよりも『いい加減』に出来ている」という認識だろう。「こんなにいい加減な仕組みでも回ってしまうのが社会というものなのか!」という驚きが得られるはずだ。

そうした驚きのあと、2つの道が君の前に現れる。すなわち、

  • いい加減にできている社会をより高速に効率よく回すために仕事をする

という道と、

  • そのいい加減な社会を自分の考える理想像に変えるために仕事をする

という道だ。生活していくのに最も大切なお金を得る方法は、かならずこの2つのいずれかの道にあるようになっている。

その、どちらの道を選ぶかを自己認識できるようにしよう。実は、選びたくなくても、選んだという意識がなくても、すべての人がそのいずれかの道を歩まざるを得ない。もちろん、途中で道を変えることはあるが、ある1時点では人はいずれか一方の道を歩むことになる。

道(=内面)とタスク(=外面)の違いを理解しよう

自分の道がどちらなのかを意識できたら、私から伝えたいことの9割がた伝えたことになる。伝えたいことの残り1割は、「道とタスクの違い」だ。

ここでいう「道」というのは上述の通り当人の意識のことを指すが、「タスク」というのは職業や就職先や結婚相手や個人の資産形成といった目に見える君の(現在含めこれからの)属性一般を指す。

この両者の違いは決定的に大きい。どんなに革新的な「道」にも保守の極致とも呼べる「タスク」がありえるし、どんなに保守的な「道」にも革新以外に見えない「タスク」がある。

私から伝えたいのは、その「道」と「タスク」が決定的に別のものであるということだけだ。

まとめ

  • 君はゼロベースで社会について考えることによって、「社会をより効率よく回す」のか「社会をよりよく変える」のかいずれかの道の選択を迫られる。
  • しかしその「道」は内面的なもので、実際に他人から見えるのは「タスク」という外面だけだ。
  • 君が他人から何かを言われるとき、それは自分の「タスク」のことを指しているので、それで自分の「道」を誤らないようにしよう。
  • 君が他人に何かを感じるとき、それは相手の「タスク」のことを指しているので、それで相手の「道」を誤解しないようにしよう。