「最強の将棋ソフト vs 人間」について
ご存知の方も多いと思いますが、来年の1月にボンクラーズ(現在最強の将棋ソフト)と米長邦雄将棋連盟会長の対局イベント「プロ棋士対コンピュータ 将棋電王戦」が開催されます。
これについて、作者の伊藤さんのブログのコメント欄で色々な議論が交わされており、僕の意見も投稿したのでこのブログエントリに転載しておきます。
人間と知能情報処理技術の良い関係のあり方について考えさせられるテーマでもあると思います。
ボンクラーズがBonanzaを改良したソフトであることについて
まずソフト開発の世界って、いまやマッシュ
アップしたり、パッチ作って改良したりと
いうのは当たり前のことで、オリジナルソフト
の作者に敬意が払われてない心配をする人なんて
いないです。オリジナルの作者はもう神みたい
なのでわざわざ褒めたりしないです。その上で
改良した人にも名誉が与えられる土壌があって
ソフトが進化していくと。来年のコンピュータ将棋選手権で、
ボンクラーズが他のソフトにボコボコに
負かされるかもしれないし、やっぱり
強くて2連覇するかもしれないし、楽しみです。
対プロ棋士について
プロ棋士と戦うことについては、ファンが
それを望んでいればやるべきだし、そうで
なければプログラマ側の都合で押し付けるのは
ちょっと違うかなぁと。で、今は後者なのかも。財政的にそれが得であっても、将棋は日本の
伝統文化ですからね。サンタクロースを信じる
子供にサンタはいないよっていうのも無粋じゃ
ないですか。最強はコンピュータ同士でやればいいと思います。
もし羽生さんが挑戦したいと言ってきたら、
受けて立てばいいと思います。
将棋連盟が所属棋士に公の場でのコンピュータ対局禁止令を出したことについて
長々と書きましたけど、ようするに伊藤さんの
言われる
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今プロ棋士で「ボンクラーズがなんぼのもんじゃい!俺が叩きのめしてやるぜ!」と思ってる人は少なからずいるはずなので、そういう人たちが妙なお触れのために挑戦できない、てのは不健全なんじゃないかな
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というのは、ちょっと違うと思っていて、
プロ棋士というのはファンから(間接的に)
お金をもらって仕事をしている立場なので、
公の場で自由に将棋をさせる立場にはない
ってことを強調したい感じですかね。だから、コンピュータとの対局禁止の解除は
連盟に訴えるよりも、まずは将棋ファンの
意向をうかがうべきだと思いますね。
まとめると
- ボナンザを改良してボンクラーズを作ったことはソフト工学的にGJ
- オリジナルのボナンザがすばらしいのは(神すぎて)いうまでもない
- プロ棋士はみんな、ファンあってこその商売だと自覚していること
- だから最強ソフトvs最強棋士はファンが望んでいるかどうかがとても重要
よって、「今の時期を逃したらもうソフトの方が強くなってしまう」という開発者側の技術的見解を示した上で、ファンの意向を伺うのがよいかと。
みんなで議論しましょう
知能情報処理技術を生活に役立つものとしていくために、思想的な部分の議論も不可欠と思います。
ではまた明日。