プラットフォームとメタビジネス
今日は「水平分業」というテーマについてひたすら書いてみます。
この記事は本当に面白かった。
IoT本命Cerevoのモノづくり--ニッチを標的に世界で作る・売る方法
EMS(electronics manufacturing service)業者がたくさん出来ていたり、AmazonでWeb店舗・集客から物流(倉庫・受注と配送・返品対応等々)までトータルにやってくれたりと、メーカーをやる上でのインフラがかなり整備されているので小資本でも企画開発に注力すればメーカーをやれてしまう時代になった、と。
メーカーにとってそういう世の中になっているというのは改めて驚きだったのだけど、ソフトウェアの世界ではWindowsがVisualStudioを安価で提供してアプリ開発を促したり、アップルがiTunesStoreでiPhone用のアプリの集客とマネタイズ手段を提供してたり、グーグルがアドワーズという商品で提供しているのは「費用対効果の高い有料のWeb集客手段」だし、そういったいわゆるプラットフォームビジネスって普通にある。
世の中に商品やサービスはたくさんあるけど、集客や受発注や配送やサポートといった業務は全てのビジネスに共通している。
プラットフォーマーは、商品やサービスの個別性を削ぎ落として共通部分に特化することでスケールメリットを出すことが出来るので、いったんそれがデファクトスタンダードになって社会インフラ化すると規模が大きいほど有利という状況になる。グーグルやアマゾンやアップルやマイクロソフトのような巨大企業はいずれもそうやって出来たといえる。
日本ではクロネコヤマトという宅配便サービスがインフラ化して大成功したし、リクルートを始め、ヤフーや楽天やDeNAやリブセンスはみんなプラットフォーマーっていえると思う。ここでも配送や人材募集、広告やWeb店舗や集客、そういうものは共通性が高いので、成功して大資本に化けるという現象が確かに起きている。
こういうビジネスを仮にメタビジネスと呼んでみることにする。メタビジネスとB2Bとの違いは、メタビジネスは相手がBかCかに関係なく、何らかの個別の商品やサービスを売るときの「バリューチェーンの一部だけ」を担うという点。付加価値の核となるアプリケーションそのものやコンテンツそのものはたいてい、商品やサービスごとに異なっているのでコンテンツクリエーションはメタビジネスにはあたらない。そして水平分業は必ず、「メタビジネス+クリエイション」という構図になる。
アップルがiPhoneの製造を垂直統合せずEMSでやっているが、それはEMSはアップル以外の大企業の製造受託も行っていて、製造やアセンブリというメタビジネスにおいてはEMSがプラットフォーマーでアップルはクリエイターだからだ。そういう風にバリューチェーンの各所においてメタビジネスとクリエイションの関係が組み合わさって商品やサービスが供給される。
みんな感じてることだと思うけど、メタビジネスがどんどん発展してあらゆる個別のクリエイションに対応しうるインフラがどんどん組み上がっていってるというのが現代のビジネス環境だと思う。
メタビジネス同士がプラットフォーマーになることを目指してしのぎを削り、コンテンツクリエイターは成功したプラットフォーム上で創造性を発揮する、という世界だ。
こういう世界が長らく続いてきたのはメディアビジネスの世界だ。メディアはコンテンツをパッケージングしてディストリビュートするというメタビジネスがその本質だ。インフラを押さえているテレビ局や新聞や出版社や大手取り次ぎ会社が大資本でクリエイターが小資本(プロダクションのような中間レベルのメタビジネスはもちろんある)という世界は、上述した水平分業の典型的な構図だ。今メディアビジネスの将来が劇的に変わると見られているのは、メディアビジネス以外の分野でメタビジネスが盛り上がり、その波がメディアビジネスの世界にも押し寄せているからだろう。
ちょっとまとまらない文章ですが、いいたいことは
- メタビジネスはスケールメリットがあり、成功すると大資本となって社会インフラ化する
- 次々と新しいメタビジネスが登場してしのぎを削るのが現代ビジネス
- コンテンツクリエイションは成功したプラットフォームを渡り歩く
- メタビジネス+コンテンツクリエイションというメディアビジネス類似の構造が全ビジネスドメインで発展している
- それが旧来メディアビジネスが受ける打撃の一因にもなっている
という感じです。
ではまた明日。