直面回避症候群
他人の新規事業を手伝ったりしてると、繰り返し思うことがある。それは「大抵の起業家は、顧客を見つけようとすることを恐れる」ということ。他人事のようにこうしてブログに書いてるけど、実は私も大いにこの弱点を抱えている。
フルタイムの仕事をやめて起業するからには、その事業プランに思い入れがあるだろうし、誰だってその事業にニーズが無かったらいやだろう。だから、ある程度の見通しがたつまでは一番顧客にしたい相手に切り込んでいくのを避けようとしてしまうのだ。
まぁ、卑近なたとえでいえば、「一番好きなマドンナ的女子にアタックせず、そこそこの子と仲良くしつつ遠目でマドンナをチラ見する」みたいなヘタレ男子マインドみたいなもんかな。
もちろん、マドンナ女子はモテるのでなんも考えずに単純にアタックするだけじゃ玉砕してしまうだろう。それはそうなのだ。イケメンなら何とかなるのかもしれないが、それでもつきあったあと「何だこの男、見た目だけか」ってなってフられるのがオチだ。
じゃあどうしたらよいか。まずはマドンナの眼中に入って、その子の意識の土俵にあがらなければならない。それには、会話したり体験を共有したりすることだろう。それでまず「知ってる人」のレイヤまで昇る。
そしたら次は差別化。マドンナは言い寄る男がいっぱいいるからそいつらから一歩抜きん出る作戦を考えなければならない。それには差別化が必要なのだ。自分は他の男と何が違うのかを相手がパッと分かる形で伝える。それも自然な形で伝えないといけない。女子は不自然さを嫌うからだ。このときに大事なのは小難しいことで差別化しないこと。なぜかというと、女子というのは女子同士でおしゃべりするのが好きなので何でも話のネタにしようとするのだが、その会話というのはネタが秒速で転々とめまぐるしく変わっていくという性質があり、話のネタにしてもらうためには「パッと分かりやすく」なければならないのだ。
なので金持ちがモテるというのは確かにあるのだ。パッと分かりやすいからだ。
X子「最近こないだ合コンで会ったA君っていう人とよくメールしてるんだよね」
Y美「へー、いいじゃーん、どんな人?」
X「なんか社長なんだって」
Y「えーマジー、じゃあお金持ちなの?」
X「社員が何人かいて年商1億?みたいな」
Y「へー、X子ってそういうタイプいままであったっけ?」
(つづく)
という感じで。話のネタといっても引かれちゃうネタだとダメだろう。例えば「それがソイツってAKBのこと超詳しくてさー、もうそんなやつ合コン来んなって言いたかったよ」みたいなネタのされ方だとNG。
そうやってとにかく話のネタになるようにして、外堀を固めつつマドンナのプライベートなコンテキストを徐々に侵略していくことで成約濃厚案件に持っていき、クロージングするわけだ。
で、起業においても「戦略を考える」というのは机の上でこんこんと頭脳を回転させたりグーグルで色々調べたて作戦を練ったりする時間は最小限でよくて、上記のマドンナにアプローチするときみたいにシンプルに
- 顧客にしたい相手とコンタクトをとる方法を考える
- その相手固有の情報をうまく引き出す方法を考える
- 同様のサービスを提供するライバルとの差をパッと分かりやすく伝える方法を考える
くらいを考えたらあとは実際にそれをやってみるだけなのだ。
なんか商品特性を分析してターゲット顧客のタイプを入念に検討するとかやってると、独善的に作り上げたコンテキストを相手に突然ぶつけることになってビジネスじゃなくてリスクの高いギャンブルになってしまう。
そういうわけで、本エントリのタイトルの通り「直面回避症候群」はかなり良くあるので、気をつけましょう。*1
*1:ちなみにこんだけ熱く語っておきながら私は彼女いません。