ジャーナリズムの外部経済性

機械化・IT化が進んだせいで労働者が仕事を奪われる局面は製造業において顕著だと思う。技術革新によって同じ商品を安く大量に作れるようになることは名目的な経済規模を縮小させてしまっても実質的な富は増える。

製造業が提供する商品は目に見えるモノでありその原料もモノだ。労働者はモノを加工する役割なので機械と同列に並べられてしまうのもうなずける。「手作りの温もり」のような価値は日常的に利用する商品には不要だ。

だがその商品がメディアが生み出す広告媒体だったらどうか。原料に相当するものは良く考えるとコンテンツではなく「人々の耳目」だ。昨今はそこで技術革新が起きてジャーナリズムがテクノロジに置き換わっているのだ。

広告というマネタイズ手段があるおかげでジャーナリズム産業が成立していたのは、製造業において公害が問題になったのとちょうど逆に社会的にプラスを生む「外部経済」だったのだ。そう考えると、今がとてつもない転換期だと改めて実感する。