「パブリッシャはネイティブ広告をどう計測するか」

DIGIDAYに10/23掲載の記事より。

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「パブリッシャはネイティブ広告をどう計測するか」

「パブリッシャはネイティブ広告の効果をどう計測するかまだ見えてない」。ある人たちはPVがその答えだといい、他の人たちはエンゲージメントの中に答えがあるという。今週のDigiday Publishing Summitで、我々は数社のパブリッシャに彼らが作ったネイティブ広告の成果を定量化する方法について質問した。

Robyn Peterson, Mashable社 CTO

我々はコンテンツへのエンゲージメント(サイト上でもサイト外でも)に基づいて計測している。なのでソーシャルのシェアの回数は我々にとって重要だ。どのくらい頻繁に、またどのくらいの割合で、人々が記事に到達しそれを読んでFacebookにシェアするか?それが本当に我々にとって意味ある指標だ。

Rich Routman, Sporting News社 CRO

我々はCTRからの脱却を試みてきている。なぜならそれはいわば(ネット広告の)石器時代のものに過ぎないと考えているからだ。我々のやり方では、効果指標はページビュー、そのページにユーザが滞在した時間の総量、何人がその記事についてツイートしたか、によって求められる。我々が求めるこういった類のエンゲージメントは、単なるページへのクリックよりもありのままを示す指標になりうる。

Mark Howard, Forbes社 CRO

ネイティブ広告については、我々はパブリッシャ側の指標を使い続けている。コンセプト全体は、パブリッシャとしてのブランドアクションだ。そうするために、我々はスタッフとコントリビュータ(訳注:記事広告の作り手のことでしょう)の両方に同じダッシュボードを提供している。つまり、ダッシュボードはいつでも(15分おきに更新される)入って中をみられるようになっており、ページビュー数やユニークビジター数やフォロワーやシェアやコメント数があり、任意の期間でソートを掛けることが可能だ。我々は2つ目のダッシュボードも提供しており、そこでは各コンテンツに対するソーシャルな計測指標を見ることができる。よってコンテンツがWeb上で拡散され、SNSのフィードでリンクをシェアしたりコピペしたりされると直ぐに、我々はソーシャルのアクションとソーシャルネットワーク上の露出についてダッシュボードで見ることができる。

Samantha Skey, SheKnows社 CRO

我々はネイティブ広告の有効性をコンテンツに対するやり方と同じやり方で計測している。なので不可欠なのは、興味関心のボリュームと深さ、意味のあるインタラクションに使った時間、そしてシェアすることへの衝動だ。我々はまた、初回の広告ユニットがどうなっていてどうインタラクションしたかをもとに、それに続くエンゲージメントの全体を見ている。我々が評価している他のコンテンツと同じく、ネイティブ広告についてもどのくらいの人々がそれに興味を持ったかを見ている。

Tessa Gould, Huffington Post社 ネイティブ広告製品ディレクタ

それは広告主の目的と彼らが何を見ようとしてるかによるが、概ね今のところ広告主やブランドにとって一番興味深く大きな判断材料になるのはもちろんエンゲージメントだ。ここでいうエンゲージメントが意味するのは、ページ上で使った時間、ソーシャルのアクション、リツイートなどだ。これらはまさに今最も大きな焦点を当てている領域だ。

訳後感

「ネイティブ広告はソーシャルメディアと切っても切れない関係にある」ということがよく言われますが、その意味するところは曖昧だと感じていました。ですがこの記事を読んで、かなり腑に落ちました。以下で少し述べます。

まずネイティブ広告はバナー以外の様々な「レイアウトにフィット」する広告表示形態を指していて、特にソーシャルメディアに特有の「タイムライン」や「フィード」といった表示形態が取り上げられることが多いのでネイティブ広告とソーシャルメディアが親和するというのが一つあります。これはよく言われることで私もそういう認識です。

しかしそういうレイアウトの親和性だけの話だと単に「ソーシャルストリーム記事」みたいなもので、「広告」という営みの本質とはあまり関係ないように思えます。広告というからには、あの良く出てくる「ファネルのどこをどう動かすのか」という話にリンクさせる必要があります。

本記事で回答している関係者たちは、「コンテンツへのエンゲージメント」をPVやUUに加えて、滞在時間、インタラクション、そしてソーシャルアクションという計測可能なデータと結びつけていることを口をそろえて語っています。これは割と曖昧に定義されがちな「ブランドエンゲージメント」を、「コンテンツを見て触って人に言いたくなる」という具体的に観測可能な事象にブレークダウンして考えているということです。凄く当たり前なことに聞こえますが、ここは立ち止まって意味をかみしめるべきです。ブランドエンゲージメントが観測可能だ、そしてその有力な手段がネイティブ広告だ、というわけなのですから。

これはネイティブ広告のプラットフォームを作り上げる際に非常にクリティカルな考え方です。なので本記事は私にとって大変参考になりました。