読書はビジネスにどう役立つのか

僕が本で読んだことを引き合いに出して自分の見通しや意見を語ると、ビジネスはケースバイケースだから本に書いてあることは直接役には立たないという返答をいただくことがときどきある。

本で得た知識が、直接ビジネスに役に立つことは少ない。その知識が巡り巡って、間接的に遠いところで役に立つかと言えば、それも怪しい。それはそうだ。なぜなら本で出版されるくらい公知な情報というのは市場においてアービトラージの材料にならないからだ。

でも、もし自分が本で知識を得ることを今よりも軽視していたら、僕はもっともっと環境に左右され、他人に利用されるだけの存在になってしまってたと思う。ビジネスにおいて本で得られるような知識が武器になることは多くはないかもしれないが、それを知らないと自分を守れないような知識というのは本にいっぱい書いてある。

それと、本を読むとボキャブラリが増える。カタカナの専門用語をたくさん覚えることができる。そういうカタカナ語を分けのわからないものとして敬遠される方も少なくないが、専門用語をたくさん理解していることは、思考の高速化につながる。

ボキャブラリが豊富であることは、プログラミングに例えれば豊富なライブラリがそろっているようなものだ。ライブラリがあれば、新しい問題を解くときに既に解決済みの部分的なパターンを組み合わせる、というアプローチがとれる。これはゼロから全て自分の頭で解決するよりもはるかに効率的だ。だから僕は専門用語や抽象的な言葉が大好きだ。そして日常的な語彙についても微妙なニュアンスの違いを意識するのがとても好きだ。

それが、僕が本を読むことがビジネスに役立つと考えている理由だ。