タイムマシン思考法

毎日ブログ書く宣言からのべ17日目。

今日のテーマは、「タイムマシン思考法」です。これは何かというと「大きな成果を上げた人のマインド」をどうやって真似るかについての1手段です。

よく自己啓発書に書かれている話として「将来を明確にイメージすれば、それは実現する」というものがありますが、そのやり方を逆転させたらどうか、というアイディアです。つまり、「(成果を上げた人の)過去を明確にイメージすれば、実現のもととなった『気の持ち方』が分かる」というわけです。

自己啓発書がいうほど、自分の理想の将来像を明確にイメージするのはそんなに簡単ではありません。でも現在活躍している人で自分の理想像に近い人がいたら、その人の過去をイメージして自分の現在と重ね合わせることは可能なんじゃないでしょうか?

ケーススタディ:グーグル立ち上げ直前をイメージしてみる

では早速、グーグル創業者のラリーペイジになったつもりで、過去をイメージしてみましょう。スタンフォード大学という超一流大学の博士課程でセルゲイブリンとインターネット検索の研究をしています。その中でなかなか良さげなアイディアを思いついて試作品を作り、良い成果が出ました。学内で広く使ってもらうよう公開したところ、評判も上々です。
時は1997年ころ。インターネットが一般人の間でも認知されてきている時期です。ネットスケープ社やヤフー社というピカピカのベンチャー企業がインターネットビジネスで目立っています。もちろん、オラクルやIBMマイクロソフトといった大企業もそれぞれのアプローチでインターネットビジネスに取り組んでいます。

(ここでイメージするときに大事なのは我々は1997年以降のことを良く知っているし現在のグーグルもよく知っているのですが、それはいったんエポケー(思考を封印)することです。1997年の状況をなるべくイメージすることが大事です。)

1997年現在、インターネットは大学では使われていますが、一般家庭にはまだ広く普及しているとは言えない状況です。ただし、ホームページは世界中で急速に増えていっています。検索のニーズは明らかにありますから、そこそこ良い検索エンジンを作れたので、この検索エンジンを売るビジネスをしようというのはそれほど敷居の高いことではなさそうです。

しかしマイクロソフトIBMが黙っているでしょうか。何千億円もの研究開発費を毎年投じて、インターネット検索についてももちろん研究しています。さらにロボット型の検索エンジンというジャンルも既にヤフーより小さいベンチャーによって提供されています。そうすると、ラリーペイジに勝ち目はあるでしょうか?

もし自分がこの状況のラリーペイジだったらどんなことを考えるかを想像してみてください。超一流大学で研究開発には自信はありますが、資金や人脈はあまりありません。プロトタイプはなかなか良いものが出来たと自負しています。

あなたなら、まず目指す地点はどこでしょうか?やはり検索エンジンで世界一を目標として掲げるでしょうか?ヤフーもマイクロソフトIBMもあるんですよ?それらに資本が無い自分が勝つ方法なんて、はたしてあるのでしょうか?

ここでラリーペイジのすごかったところは、社名のもとにもなった「googol」というコンセプトに集中したことでしょう。

つまり、

勝つ方法は「量」にかかっている

というビジョンを持ったという点です。

ここで、その後の検索連動広告というグーグルの大黒柱となったビジネスモデルについての話は一切出てきません。何がコアなのか、という一点においてグーグルは最初から「正解」を選んだということです。

これはすごいことです。ふつう、IBMマイクロソフトに勝とうとしたら、「小規模でも精度が良い」という形での差別化を考えると思います。しかしラリーペイジは、あのIBMマイクロソフトで莫大な資金でR&Dしているところを横目に「我々が集中すべきは量である」と考えたのです。

もうこれはレッドオーシャンもひどいレッドオーシャンに突っ込む無謀な話です。火事場に単身ツッコむくらいの話です。大企業に対して、「大企業がもっとも得意としそうな手段」で戦いにいくというのですから。

しかしここまでイメージしたことで、大事なことが分かります。それは、「自分たちが新しい世界を作る」という強い意志、また、「ライバルがどんなに強かろうが、目的に最も適う手段を選ぶ」という大胆さです。

私が1997年当時のラリーペイジになったつもりでイメージしてみると、IBMマイクロソフトが「動きの遅い、イケてないエリートたち」に見えてくるから不思議なものです。

というわけで

この方法は色々応用が効くと思います。起業家でなくても、例えばピアニストになることが夢だ、というような場合でも使える方法だと思います。成果を出した偉人と、現在の自分との間にある違いを意識するのにオススメの方法です。

ではまた明日。